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第41話

 力づよい水音に耳をすましてみる。木々や土の匂いと音の癒しに中枢神経が刺激され、心身ともにリフレッシュするっつー感じだぜ─── 「ちょっと、まだつかないのかしら。母さん疲れたわ、少し休憩させて」   いや、俺がリフレッシュするためには、まず邪魔者どもを滝壺に沈めねばなるまい。くそっ、滝の音聞こえてんだろ。もう到着するっつの。  とはいえご老体は労わらねば。つーことで目的地も直前で母親を休ませるべく、木の根っこが張り出た場所へ誘導してやり足を休めること約三十分。  更に予定を狂わせられた。こんなことしてっと年が明けるじゃねえか。  滝につくなり母親は香奈に任せ、俺と音稀は持参した釣竿担いで川釣りへ。もれなく親父もついてきた。って嬉しくねー。 「おお、ほら音稀。糸、糸、引っぱってっぞ」 「ああ、ほんとうだ。どうしたらいいの」 「んっ、こうやってリールを巻いてだな──」  水が澄んでいるせいか、滝の近くでも結構魚が泳いでる。氷の張ったクーラーボックスには、ヤマメやオイカワがin。  音稀が釣りあげたのはイワナ。すげえ。  ちなみに親父は意気揚々と竿を引いて飛び込んできたのはナマズ。親父「一将くん。どうだね、立派なナマズだろう(キリッ)」だとよ。ドヤ顔でさ。しょっぼいナマズ。いやそこ笑うとこだろ。笑うしかねえじゃん。怖いから笑わねえけど。

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