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第40話

「ちょっとクズ一将、聞いてんのっ?」 「あーもう、うるせえな。ンな大声出さねえでも聞こえてんよ」  マジむかつくヒス女だぜ。面と向かってクズとか言うか。つか呼び捨ててんじゃねえよ。  コテージのドアを開けばででんと立っていた魔女、香奈。素で悲鳴あげたの初体験だっつの。ホラーもいいとこ、チビるかと思ったぞ。  音稀とふたりだけで探検しにいくはずが、結局は涼風一家との珍道中だ。地味にへこむわガチに面倒くせえわ、最低あり得ねー。  当初はコテージをひとつリザーブしていたが、邪魔虫どもがついて来るってんで予定が狂っちまった。レジャーシーズンだ、当日にもうひとつ部屋を借りるつっても無理だし、もう絶望よ。  家族そろってベッドに川の字で寝るとかどうよ。俺のとなりが親父とか、うわあぜってえ嫌。母親?……うん、ないな。香奈……は全力で拒否する。  で、急遽コテージの管理会社に問い合わせて泣きついてみた。ンで結果、割高だが家族向けの大部屋に空きがあるってんで力いっぱいトレード要請したってわけ。  ちょうど個室は三部屋。壁は隔てているが同じ屋根の下──エッチは無理か。  歩きすがら音稀と景色を眺める。嬉しそうな顔。俺と目が合うと、にこりと笑ってくれるとかマジ可愛い。やっぱ来てよかったな。  滝の音が聞こえてきた、もう直ぐ到着か。

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