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第74話
急遽ストーカー野郎は、猟奇的な犯罪者である俺に巻き添えで殺されちまう不運な男として、最後の犠牲になってもらうって予定に変更したんだと。
誘ってもないのにキャンプ場に現れパニクった結果、苦し紛れに殺されちまう運命とはあいつも不憫だよな。しかも俺に金で雇われたうえに殺されるって伏線まで用意されてるし。
けどもとよりこいつも始末する予定だったそうで、まとめて地獄に送ることができて一石二鳥だと音稀は笑いながら話を終えた。
聞いていて吐き気がしてきた。慶子もそうだが、悪びれもねえ音稀の淡々とした口調とその笑顔に、これが俺の愛したやつかと雷に打たれたような心境になる。
これで俺は終わりかもしんねえ。いや、銃口が俺らに向けられてる時点で、もう助かる道はねえだろう。だったら最後に言わせてもらう。
「……おまえ狂ってるよ。慶子もだ、ひとの命をなんだと思ってんだ。まるで虫を殺すみてえに、おまえら罪悪感もねえのかよっ」
「罪悪感ですか? うーん、ないですね。汚いやつらを一掃できて清々するって充足感ならありますけどね」
そう話しながら笑う音稀。もう俺の知ってる音稀じゃねえ、こいつは俺のなかで死んだんだ。辛れえ、なんて結末だよ、こんなのありか。
絶望に曇る俺の顔を見ながら今度は慶子が話す。とどめだ。
「私たちを苦しめまくった挙句、ふたりして陰で馬鹿にしてくれたからこうなるのよ。おまえらには相応しい末路でしょ、股の緩いクズ──」
「いやあっ許して──っ」
慶子の言葉を遮り香奈が発狂した。その瞬間───
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