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なおしたいコト5

「はじめのヤツ、何を言ってるんだか。俺はそこまで真面目じゃないっていうのになぁ」 「どこかの大臣のように抱えてる仕事を、すべて事務方任せにするなんてことを、稜はしないだろ? そういうことさ」 「いやいや、しちゃうかもよ。それこそこれからやって来るはじめに要望書を丸投げして、堂々と楽をするかも♪」  ふふふと笑いながら、お茶を一口いただいた。 「そんなことよりも稜の睡眠時間は、きちんと確保しなければならない案件だ。今現在こなしている仕事の効率を考えると、もう少しほしい。先々週から、徐々に落ち始めてる」 「うわぁ! 睡眠時間だけじゃなくて、そんな細かいことにも目を光らせてるんだ……」 「当然だろ。俺は君の恋人兼秘書だからね」  切れ長の一重まぶたを細めて微笑む、克巳さんの顔を見ただけで、未だに胸がときめくのはどうしてだろう。もしやこれは、克巳さんとの夜の営みが、しばらくご無沙汰なせいだったりするのかな? 「稜の物欲しそうな顔は、そろそろお茶のお代わりが必要なのかい?」  克巳さんの笑顔に見惚れていると、手にした湯のみを奪われそうになる。お茶は半分くらい、残ったままだった。 「おかしいな。俺としたことが、珍しく読みを外した」  顔を俯かせつつ、中身を確認しながら湯のみに伸ばした手で、頬に触れる克巳さん。俺の体温が低いせいか、ほっとする温もりをじわりと感じた。 「克巳さんの手、ホカホカしてるね」 「稜、いい機会だから治さないか?」  俺の感想を無視して、妙な提案を告げる。  頬から耳朶に移動した克巳さんの指先は、感じさせるように耳の穴をまさぐった。その動きでビクつきそうになり、手に持っていた湯のみを、慌ててデスクに置く。 「ちょっ、克巳さんっ…いきなり」  隣の部屋には、事務員の女のコだっている。それなのにこんなことをされたら感じまくって、大きな喘ぎ声が出てしまうかもしれない。 「稜の早漏を治す治療を、俺としてはおこないたい」 「そ、早漏っ!? は? めちゃくちゃクソ真面目な顔して、何を言い出すかと思ったら」  クソ真面目と表現したけど、悲壮感も若干を漂わせている克巳さんを、まじまじと見上げてしまった。

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