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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい5

***  寝ている彼に口づけをした。逢いたくて逢いたくて、今までずっと我慢していたせいで、中途半端な行為では止まらず、勢いのままに手を出してしまい――。 「あっ…ああ! やぁっあっ…んあっ……」  細身の両肩をぎゅっと押さえつけ、自身の長い髪を振り乱しながら、愛しい人の中に熱く膨張した杭を何度も打ちつけた。抑えられない想いを込めて、強く打ちつける。強弱をつける余裕なんて、まったくなかった。 「随分と感度がいいようですね。はじめてなのに」  快感に顔を歪ませる姿を目の当たりにして、もっと感じさせたくなった。感じるところに目がけて、腰を動かしてみる。ぐちゅぐちゅという卑猥な音が、保健室の中に響き渡った。 「ンンっ…ベニーせんせぇのっ、すごくいいっ、ああっ!」  快楽の海に沈まぬようにするためなのか、愛しい人の両腕がベニーの首にかけられる。ふたりの距離がさらに縮まったことで、離れていた時間が埋まる気がした。 「なにが、どんな感じでいいのでしょう?」 「おっきくってっ……っぁ! か、たくて、熱くてもぉ……は…ぁっ、僕の気持ちいいところを、いっぱいぐりぐりして、くれ、るからっ」  組み敷いてる愛しい人は全裸なのに、自分は白衣を羽織ったままという格好は、職業上いた仕方ないものなれど、切なさに拍車をかける。 「こんなふうに?」  両肩から手を外し、反り勃つモノを上下に弄りながら、空いた手で快感に震える躰を抱きしめた。容赦なく扱く手の中のものが、瞬く間に膨張すると同時に、ベニー自身をこれでもかと締めつけて、絶頂に導こうとする。  愛しい人よりも、先にイくわけにはいかない。それをやり過ごすべく、奥歯をぎゅっと噛みしめて我慢した。 「ん…っも…だめっ!」 「イってもいいですよ」 「あ……やぁっ、あああ!」  ベニーはめくるめく官能の世界を、目を閉じて脳裏に思い描く。ローランドの生まれ変わりに逢ってからというもの、それ系のことがずっと頭の中で再生されていた。 「あのさ、ベニーちゃん」 「…………」 「ベニーちゃんっ!」  大きな声で名を呼ばれて、はじめて我に返った。眠気を払うように頭を振りながら、閉じていたまぶたを開けて、目の前の椅子に座る男を見やる。 「感動の再会の余韻に浸ってるところ悪いんだけど、アイツは主の生まれ変わりなのか?」  保健室の机とセットになっている椅子に足を組んで腰かけるベニーに、黒ずくめの男が唐突に質問を投げかけた。 「先輩も一緒に、ローランド様の朱いオーブを見たじゃないですか。彼の中にある魂の色は、まったく同じものに間違いありません」 「でも信じられないよな。俺らと同じ選ばれし人間なのに、魂と肉体を繋ぐ行為をしなくていいなんてさ」 「それだけじゃなく、前世の記憶も引き継がれていないなんて。私を覚えていないことは、寂しい限りです……」

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