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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい35

「君の中にある伯爵の記憶なんて、全部なくなってしまえばいいのに」 「そんなの無理に決まって…やぁっ、あああ!」  明堂の耳の穴を、ベニーの舌が執拗に責めた。逃げたくても顔をがっちり両手でホールドされているため、動かすこともできない。 「やぁっあっ…んあっ……やめ、んっ、ふぁっ!」 「随分と、可愛い声で啼くじゃありませんか。耳だけでこんなに感じるということは君の中は、もっと感じる可能性があるのかもしれません」 「なっ!?」  ベニーは両手で掴んでいた顔を解放し、人差し指で明堂の下唇をゆっくりなぞる。だが、自分の体重はかけたままの状態をキープした。 「君は激しいのとねちっこく責められるの、どちらがお好みですか? まあ経験している高校生同士だとテクニック云々よりも、激しいものが多いような気がします。おっと危ない」  なぞっていた人差し指を明堂が噛もうとしたので慌てて退けるなり、おでこにデコピンしてやる。 「痛覚を伴うプレイは、私の好みではありません」 「こちとらアンタの体重を受け止めてるせいで、動かせない両腕がかなり痛いんだけど!」  眉間に深い皺を寄せて喚く明堂を見ながら、ベニーはにっこり微笑んだ。 「だって体重をかけておかないと、すぐに逃げるでしょう?」 「当たり前だ。おまえに抱かれると考えるだけで、反吐が出る!」 「そこまで嫌われているとは。そんな相手に散々感じさせられる気分は、さぞかし最悪でしょうね」  ずばりと心の内を指摘してやると、悔しそうに唇をかみしめて顔を背ける。あと一押しだと思いながら明堂の顎を手荒に掴み、自分を見るように無理やり動かした。 「さて、次はどこを責めましょうか。君は感度が良さそうなので、どこを責めても楽しませてもらえそうですが」  瞳を細めて楽しそうに笑いつつ、首筋に舌を這わせた。舌先を使って上下に肌をなぞると、目の前にある躰がぴくぴく痙攣する。 「くぅっ!」 「我慢することはありません、私の躰に伝わっていますよ。君の大事なところが、いやらしく濡れていることを」 「違っ!」 「私に感じさせられるたびに、溢れ出ているのでしょう? まぁこんなの、序の口ですけどね」 「……俺になにをする気だ?」  さきほどとは違う弱った声色は、明堂の不安を示していた。 「男娼として、両方を経験している私にとって、相手の鼻っ柱を折るのは、造作のないことなんです。私に責められ続けた結果「俺のケツマン〇にさっさと突っ込めよ」という言葉を、君の口から吐き出させるまで、徹底的にヤりますから」

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