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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい34

「確かに君がほしい。躰だけじゃなく、心もね」 「やらねぇって言っただろ!」  喚くような怒鳴り声が、無機質に保健室に響く。騒音に近いその声を聞いても、ベニーの決心は揺らぐことがなかった。無表情のまま扉に進み、表にかけてある看板を外出中にしてから鍵をかける。カシャンという鍵のかかった音を聞いて、明堂は低い唸り声をあげた。 「ベニー、てめぇ……」  ベニーは振り返りざま、髪を束ねていた赤い紐を勢いよく外すと、躰を覆うように長い髪がさらさら零れ落ちた。 (当初の予定では、チャイムが鳴ったら理由をつけて、無理やり身を引こうと思っていたのに、ここまできてしまってからでは、引くに引けない話ですね) 「君の知ってる私は、もういません」 「ふざけんな! 生徒に手を出す、変態教師になるっていうのかよ」 「これは抗うことのできない恋。嫌でも一緒に墜ちてもらいます」  明堂が逃げようとして数歩退いた瞬間、ベニーは素早く駆け寄って彼の片腕を掴み、ベッドに向かって引っ張った。 「離せよ、嫌だっ!」  ジタバタ暴れる明堂が逃げないように、持っていた赤い紐を使って後ろ手にキツく手首を縛りあげてから、ベッドの上に放り投げた。 「くそっ!」 「ちょうどアソコが大きくなっていて、このまま教室に戻れないでしょう? 私が処理をしてあげるんですから、黙ってされなさい」 「こんなの兄の伊月と、やってることが同じじゃねぇか」 「同じじゃありません。今からそれを体験させてあげます」  小さく笑ったベニーの右手が、ベッドに横たわる下半身に伸ばされた。布地越しでも感じるように先端部分を指先で強くなぞられて、明堂の口から変な声が出そうになる。 「やっ、あぁっ!」  卑猥な動きをするその手から逃げなければと、上半身を捻って足を動かそうとした刹那、ベニーが両膝の上に跨って、その動きを見事に止めた。 「嫌なら弘泰と交代すればいい。抱いてほしいと頼まれていました」 「交代なんてするもんか。この躰は俺のなんだ」 「そのくせ私に抱かれたくないと言うなんて、本当に我儘なんですね。それはそれで、楽しくもありますが」  ブレザーの大きなボタンを外してから、ワイシャツのボタンを外していく。 「くっ、楽しむなんて趣味悪いのな」 「私なしではいられない躰にしてあげますよ」  キスするように顔を近づけたベニーは、睨む明堂の視線を受けたまま、するりと顔の向きを変えて、耳に吐息をふーっと吹きかけた。 「ひっ!」 「感じやすさは、ローランド様と同じですね。記憶にあるのでしょう、伯爵に抱かれたことを」 「そっ、それがどうした……」  全身の体重をかけて明堂の動きを止めつつ、両手で顔を掴んだ。

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