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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい65
慌ててベニーの手を掴んだ弘泰だったが、感じる部分に刺激を与えられたせいで、力が緩んでしまった。
「ベニーっ、そんな、とこ…触っちゃ、だ、ダメっ」
「どうしてですか? 気持ちいいのに?」
感じるところに触れてるとはいえ、そこまで激しいものではなかった。しかしながらふたりきりの空間や煽る言葉、そして時折そそがれる熱を帯びたまなざしに見つめられたりと刺激が過多で、弘泰は息が荒くなっていく。
「だって…が、我慢でき、できなくなっちゃう」
「そこまで強い刺激を与えているつもりは、ないのですけど」
「大好きなベニーに、触られてる…からっ。いつもよりきも、ちいいっ」
吐息混じりに喘ぐ弘泰に、ベニーは伸ばしていた手を外す。
「すみません。こんなに感じてくれるとは思っていなかったので、嬉しかったのですが……」
「ベニー?」
前を向いたまま切なげに微笑み、左折するためにウインカーをあげた。
「車内で始めてしまっては、わざわざふたりきりになった意味がなくなってしまいます。それに、大好きな君をもっと感じさせたいですしね」
「僕も嬉しいです。ベニーが我慢して運転してくれること」
小さく笑いながら寄り添い、迷うことなくベニーの下半身に触れる。
「弘泰っ、運転中ですよ」
「さっきのお返しをしちゃ駄目?」
上目遣いで下から覗き込む弘泰に、ベニーは眉根を寄せてチラッと見下ろした。注意を促したというのに、触れる手の動きは止まる気配すらない。
「私の我慢を試しているのですか?」
あえて弘泰の手の動きを止めずに問いかける。
「我慢を試しているわけじゃないんです。だってコレが僕の中に入るんだなって思ったら、不安やドキドキとか、いろんな感情がないまぜになって、触れずにはいられなかった」
「はじめてですもんね、不安があって当然です。優しくしますよ」
「できれば最後まで……。途中でやめないでほしいです」
下半身に触れていた手を退けて、ベニーの左腕にぎゅっと縋りついた。
「弘泰?」
俯いたままでいる弘泰の名前を呼びかけたが、すぐには返事がなされなかった。ベニーは再度問いかけることなく、黙ってハンドルを操作する。そうして弘泰の言葉を待つ。
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