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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい73

「大きく動くって、こんな感じですか?」  弘泰がそろりそろりとゆっくり腰をあげて、言われたことをやってのけた。 「本当に可愛いですね。もっと私ので感じさせたいです」  おっかなびっくりな様子の弘泰に、ベニーはあがった分だけ下から勢いよく突き上げた。その衝撃に弘泰自身から愛液が滴り落ち、ベニーの躰を濡らしていく。 「いきなり…そんなこと」  弘泰は眉根を寄せて文句を言おうとしたが、したり笑いをしたベニーの両手が自分の腰に添えられるのを見て、はっと表情を固くした。 「弘泰、そのまま楽にしていてください」 「ちょっ」 「君がさっきから私のを締めるせいで、イキたくてたまりません」 「ひゃっ!」  抵抗する間もなくベニーの力によって、弘泰の躰が激しく上下する。 「ベニーっ、んッ…僕も貴方を」  上下する動きに合わせて、弘泰自ら息を切らして動き出した。 「弘泰……あぁっ!」 「僕の中で感じて! たくさんイってくださいッ」 「君の中にぃっ…私の愛をたくさん、くぅぅ!」  脈打ちながらぶちまけられる熱を感じて、弘泰は幸せを噛みしめた。 「ベニー、ありがとう。今まではこんなことするのがつらくて嫌な行為だったのに、貴方とならずっと抱きしめ合いたいと思えます」  涙ぐむ弘泰に、ベニーは満面の笑みを浮かべて起きあがる。 「私もですよ。弘泰だけにこの身を捧げます」  引き寄せられるように顔を寄せて、くちづけを交わしたふたりは、ふたたびベッドを軋ませたのだった。 *** (弘泰とはじめていたした悦びからとはいえ、少しやり過ぎましたね……)  その後浴室に移動し、弘泰の中を綺麗にしてから、互いの躰を洗いあった。イチャイチャしながらだったこともあり、最終的には弘泰が疲れてぐったりしたため、ベニーが横抱きにして部屋に連れて行こうと、階段を上がりかけたときだった。  玄関の鍵がカチャッと音を立てて回り、扉が勢いよく開く。中に入ってきた人物と、ばっちり目が合った。 「ベニー・ロレザス?」 「だっ――」  初対面なのに、自分の名前が口から出たことに驚き、思わず言葉を失う。 「両想いになった途端に、弘泰に手を出したのか。さすがは元男娼、手が早い」  名指しされただけじゃなく、やっていたことまで言われた時点で、全身から血の気が引いていった。ふたり揃って腰にタオルを巻いただけの姿を晒しているゆえに、弁解の余地はまったくない。 「貴方は弘泰の……」 「父親だ」 (こんなタイミングで、弘泰のお父さんに逢うことになろうとは。神様の粋な計らいについて、絶対に感謝しませんよ!)

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