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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい74
「いい歳した大人が未成年相手に、くたくたになる状態に追い込むまで抱き潰して。そんなに弘泰の躰は良かったのか?」
「申し訳ございません……」
「早く寝かせてやれ。下で待ってる」
思いっきり顔を背けてリビングに向かう背中を見送りながら、ベニーは小さく頭を下げた。その後、慎重に階段を上り部屋に戻ると、弘泰をベッドに寝かせて布団をかぶせる。
「弘泰とは、一筋縄ではいかない付き合いをすることになるんでしょうね。前世のカルマのわざわいが絡んでいるからこそ、気を引き締めなければ」
ベニーは利き手で、弘泰の頭を撫でた。自分の中にある、波立つ気持ちを落ち着かせるように何度も撫でたあと、急いで着替え、身だしなみを整えつつ、リビングを目指す。
(私と弘泰、ふたり分のカルマを背負っているけれど、それでも頑張ることができます。この手で捕まえた恋を、絶対に逃しはしません!)
リビングに足を踏み入れた瞬間に、弘泰の父がダイニングテーブルから、ベニーに視線を投げかけて、向かい側に座るように促した。
「失礼します」
階段でのやり取りの気まずさを隠して軽く会釈をしてから、椅子に腰かける。テーブルの上には、あたたかいお茶が用意されていた。
「単刀直入に言おう。俺は弘泰の見守り人だ」
「お父さんが見守り人ですか?」
「俺は殺人を犯して死刑になり、選ばれし人間になった。おまえの見守り人とは違い、俺は選ばれし人間として生きた世界を、早々に落伍した。つらい現実の連続に辟易したんだ」
(おまえの見守り人とは違いって、もしかして先輩に直接逢って、言葉を交わしたということでしょうか。見守り人としての情報交換するためかもしれませんが……)
頭の中を素早く整理しながら、疑問に思ったことは退けておき、自分が知っている知識を口にしてみる。
「選ばれし人間の世で生きられない場合、そのまま魂を消滅させられるわけではなかったんですね」
相手は弘泰の見守り人、彼を守るために嘘の情報を与えられる恐れがあるため、ベニーは慎重に言葉を選んだ。
「俺の見守り人に相談したら、特別に扱ってやると上のヤツに言われたそうだ。気がついたら赤ん坊の弘泰とここにいた」
「特例措置の弘泰と一緒にですか……」
眉根を寄せながら冷ややかな視線を目の前に注いでみるが、ひょいと肩を竦めてやり過ごされた。
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