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抗えない想いを胸に秘めたまま、おまえの傍にずっといたい2
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俺の前世は韓国人――ごく普通の家庭で生まれた。他に兄弟はなく、子どもの俺を、母親は過干渉と称するに値する接し方で教育を施した。おかげで、英語と日本語が日常会話として話せるレベルだった。
母親の過干渉について父親はまったく何も言わず、あまりのウザさにそのことを相談しても「愛情だと受け止めなさい」のひとことで終了した。年頃になり、躰が大きくなったのを機会に反抗してみせても、母親は怯むことなく俺に干渉した。
言葉と一緒に暴力的なことをしたのに、涙を流しながら「こんなことをするのは、きっと悪魔が貴方に憑りついているせいよ。そうに違いないわ」なんて馬鹿げたことを口にされた。それを聞いた途端に、ああもう駄目なんだなと、諦めに似た気持ちが俺の心を支配し、抵抗するのをやめざるを得なかった。
そしてそれから数年が経ち、大学受験に失敗した。俺としてはまったく興味のない大学だったので、落ちても別に平気だった。
「貴方は私の子じゃない。大学受験に失敗するなんて信じられない」
否定する母親のその言葉が、俺の心を奈落の底に突き落とした。それが自らの命を絶つきっかけとなった。
そんな前世の記憶が残っているせいで、転生してから何人かの女性とお付き合いをしてみても、誰かを愛することと一緒に、愛されることにも不安しかなかった。結果的に300年あまり長生きしたが、見守り人にジョブチェンジする選択肢しか残らなかった。
他人の人生を傍で見守る――輝けるであろう自分の来世を、赤の他人にお任せすることで、どんなに気が楽になったか。
そう、気が楽になったはずだったのに、ベニーの人生は想像を超えて、波乱万丈なものだった。俺が手を添えてやらないと、すぐにでも駄目になりそうなくらいに、かなり危うかった。
とはいえ手助けするにも、すべておこなうことはできない決まりになっている。命に関わる事柄じゃない限り、見守り人が助けてしまった場合、ベニーの人生になんらかのペナルティが与えられてしまう。
俺はやきもきしながら、不器用なベニーの恋愛を見守った。命をかけて主を心の底から愛するアイツを見ていると、素直に羨ましいと思える気持ちがいつの間にか芽生えた。
主の顔色ひとつで一喜一憂するベニーとともに、俺までもが心を踊らされた。
不思議だった。誰かを愛することや愛されることについて、かなり消極的だった俺が、ベニーにかかわっただけで、あっさりとそれをひっくり返されたのだから。
主が座っていない椅子の背にベニーが縋りつき、苦悶しながら涙する姿に胸を痛めたとき、俺なら絶対に泣かせるようなことをしないのにと思った。
そう考えついた瞬間、気づかされてしまった。ベニーを愛してしまったことを――。
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