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第21話 あの表情。(独歩目線)
今日は日曜日、俺の仕事は休みだった。
ゆっくり睡眠をとろうと思っていたが、室内はやけに暑くて仕方なく起てリビングに入った。
……昼間だというのにリ、ビングには一二三の姿が無かった。
スーツを着て一人で出掛けたのかと一瞬思ったが、俺はあの小学五年生の時の痴女事件を思い出した。
あの日もエアコンをつけても暑い、丁度こんな日だった。
俺は社会のプリントを提出し忘れて、一二三を置いて学校に戻った。
一二三は自宅に帰らなかった。
一二三が見付かったのは三日後のあるOLのアパート。
見付かった一二三は裸で性的な暴行を受けていたらしい。
それから一二三は異常なほど女性を怖がるようになった。
一二三をそうさせたのは、一人にした俺だ。
俺のせい俺のせい俺のせい……、全て俺のせい。
一二三は出会った頃から見た目だけは良い奴で。
だから男女関係なくモテた。
なのに奴は何故か俺に興味を持っていたみたいだった。
きっとオレが変人だから一二三は俺に興味が湧いたんだ、飽きたらまた俺は一人だと思ってた。
だけど一二三は中学も高校も俺と一緒の学校に進学した。
……オレが一二三を女性恐怖症にしたから、一緒にいて罪を償えというつもりなんだと思っていた。
高校一年のあの初夏の出来事があってから、少し俺の考え方が変わった。
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