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第25話
まだ俺は新人で、慣れない接待を余儀なくさせられた。
やっと終電で帰って来た俺は、やっぱり悪酔いしていた。
悪酔いなんてしたことがなかった俺は、駅からアパートまで歩けず。
駅の近くの電信柱の下に転がっていた。
その時通り掛かった人影……きらびやかなスーツを着た一二三だった。
「おーい、どっぽちん!!ダイジョーブ?」
「一二三……?なんだその格好。まるで格好いいホストみたいだな……」
俺は本当に悪酔いしていた。
一二三がホストなんて絶対にあり得ないし、でも奴は見た目だけは格好いい。
冗談のつもりで言った筈だった。
「独歩、本当にオレカッコイイ?」
「ああ、似合ってる。……俺が女性なら惚れてるかもな」
男の俺でも惚れてるけど。
「……歩ける?」
「無理だ……、気持ち悪い」
「部屋まで運んだら、独歩はオレの言うこと聞いてくれる?」
「それは助かる……。部長の愚痴も聞いてくれたら何でもしてもいい」
すると一二三は元気よく俺を担いで、部屋まで運んでくれた。
お前はなんでそこまで元気があるんだ?
その元気と体力を俺にも分けて欲しいぞ。
今日ハゲ課長に営業一人で任されて逝ってきてミスった。
今までないくらい怒られてされて、尻拭いにその営業先のお偉いさんの接待で……と俺は愚痴を吐いた。
そのときの一二三は『うんうん』としか聞いてなかったと思う。
それは一二三に『下心』があったからだと知ったのは部屋に入ってからだった。
そのときに俺と一二三は初めてセックスをした。
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