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Ⅰ 恋せよ、俺!④

なんでーっ? 俺っ、俺ェェーッ!! 抱きしめられちゃってる。 俺の体、すっぽり…… 航雅の腕の中だァァァー!! 口から心臓、飛び出しそう。 バクバクいってる。 胸が痛いくらいに。 耳の淵を低音がすくった。 「『知ってる』?……なんのこと?」 黒い猫耳がぴょこんっ 視界に飛び込む。 ドキンッ なまじ美形なだけにタチが悪い。 長い睫毛の下にのぞく切れ長の双瞳が見つめている。 猫耳のせい? こいつが付けるとにゃんこ……というより、山猫だ。 マントの下の豪奢な衣装が、ふわり……と揺れた。 高貴でいて野性的な眼が心臓を突き刺して、鼓動が跳ね上がる。 「なぁ?」 つん 爪の先が下唇を弾いた。 「答えろよ」 こいつ、こんなに迫力あったか? ……つか。 これは色気だ。 山猫伯爵の妖艶な魔力に魅入られる。 「……告白するって」 先輩への告白。 俺、航雅に相談してないのに。どうして、お前が知ってるんだ? フゥっと。 形良い唇が弧を描いた。 「気づいてたんだ、俺の気持ち」 吊り上がった蒼い瞳が、月夜の猫のように輝いた。 「好きだよ」 なんですとー!! 「……結羽」 掌が頬に触れた。 冷たくて気持ちいい。 右の手に頬を包まれて、顔を持ち上げられる。 うわー。ばっちり目と目が合って、見つめ合ってる。俺達っ 「結婚しよう」 なんで? どうして俺はこうなったー??

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