1 / 12
第1話
「ケン、今から帰るところ?」
自宅の玄関を出たところで、隣の家の幼馴染みの姿に気付いて声を掛けた。
上目づかいに見上げる。
昔は俺よりもチビだったくせに、いつの間にか抜かされ、中二の今は大人並みの身長だ。
「あれ? リュウ早いね。部活は?」
「顧問がいなくて休み。今から先輩の家に行くところ」
「先輩って、あの金髪の人?」
「うん。ほら、お前が欲しがってた例のゲーム買ったんだって。月曜まで親がいないらしくて、徹夜でやろうって誘われてさっ」
「他に誰が来るの?」
「わかんないけど、4、5人くるんじゃない?」
ケンはなぜか、苦り切った表情を浮かべた。
「リュウさ、もうちょっと自覚した方がいいと思うよ。自分がその辺の女の子よりよっぽど可愛いってことをさ……」
ともだちにシェアしよう!