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第6話

 ケンは、身長が伸びると同時に態度も大人なみになって、最近は可愛げがない。  昔は、子犬のように俺のあとばかりついてきて、師匠とあがめて何でも言う事を聞いたのに。  今は、何かといえば、子供扱いばかりしてきてムカつく。  確かに、男女の付き合いや、下ネタに疎いのは認める。  だけど、あいつだって同じレベルに決まってるっ!  ケンのことだから、AVは見たことはあるかもしれないけど、ゲイビデオまではさすがにないだろう。  あいつの慌てふためく姿を見て、それをネタにからかってやろう。  それで、あの許せない言動はチャラだ。きれいさっぱり水に流して忘れてやる。 「先輩、このDVD貸して下さい。明日、ちゃんと返すからっ」  勢いよく跳ね起きると、その反動でソファーに転がり茫然としている先輩の返事を待たず、DVDを奪い取るようにカバンに入れた。  あいつ、どんな顔をするだろうか?  泣くことはないと思うけど、プルプルと震えて真っ赤になるに違いない。  まぁ、あいつには、ちょっと刺激が強すぎるかもな。    早く、ケンに会いたい。  俺は、全速力で走った。

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