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第8話

 5分ほどして、ケンがジュースとお菓子を手に戻ってきた。 「結局、先輩の家には行ったの?」 「うん」 「え? 行ったんだ。誰か他にいた?」 「まだ、誰も来てなかった」 「やっぱりね……」  ケンが眉根を寄せて何か言いかけたが、それを遮るようにテレビのスイッチをつける。 「あっ……んっ…っ……」  ちょうどセックスのシーンが画面に映し出され、耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい喘ぎ声が響く。  男の場合は尻で繋がるなんて、そんな想像もできないような衝撃的な方法に、驚いて声も出ないに違いない。  さぞかし真っ赤になっているだろうと、チラリと横目でケンの顔を盗み見る。 「何これ?」  予想と違う血も凍るような、ものすごく冷ややかな声に、逆にこっちがドギマギする。 「ゲイビデオ。なんと、男同士でもセックス出来るんだよ! お前、知らなかっただろ?」  動揺がバレないように、さも何でもないことのように言う。  俺だって、お前の知らないことを知ってるんだ。ガキじゃない。 「リュウさ、全然、わかってないよね。折角、忠告してあげたのに」  ケンがため息交じりに言い放つ。 「え?」 「これ、さっき先輩の家で見せられたんでしょ? だから自覚しろって言ったのに」

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