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第10話

「あっ……」  自分の口から、聞いたことが無いような甘い声が漏れ出る。  なんだ、この声? 本当に俺の声?  その声に刺激されたのか、ケンの昂ぶりが股間に押し付けられ、それで俺のものを上下に擦るように刺激する。 「……んっ……」  その刺激に覚えのある感覚が沸き起こり、俺のものが立ち上がってくる。  やばい。気持ちいいけど、やばい。  俺の本能がすごい勢いで警告を発しているのに、力が抜けて身動きとれない。 「なっ、ゆ、指っ! 穴の中に入ってるって」  いつの間にかくつろげられていた隙間から、指が侵入してきて、窄まりの中に差し入れられている。  こいつ、気付いてないのか? 「うわっ」  さらに深く指が潜り込んでくる。 「ここ、気持ちいだろ? 前立腺っていうんだよ。 気持ちよくなるスイッチ」  ヌチャヌチャと卑猥な水音が、テレビから、そして自分の中からも響く。 「あっ……んっ…っ……」  この声は、テレビからか? それとも自分からか?  気持ちいい。初めての感覚。    指が引き抜かれ、窄まりに違う何かがあてがわれる。 「うわっ……んっ……、ムリ…ムリだって、裂けるっっ! 抜けよっ、おいっ!」  すごい質量に、粘膜が限界いっぱいまで広げられる。  俺の言葉が聞こえていないのか、挿入がさらに深くなる。   「…うっっ…っ…」  耳元で、殺しきれないケンの息遣いが聞こえる。  律動が激しくなる。    それに呼応するように、前を扱く手がはやまる。  全身の血が前に集まる。  気持ちがいい。自分でするのと全然違う。  いつの間にか、痛みは消え、甘い悦楽のみが全身をつつむ。 「はっ、あっ、……」  こいつの手、こんなにでかかったっけ?  背中に感じる胸板も、こんなに厚かった?  それに、こんな事、どこで覚えたんだ?  俺の知らない間に、誰かとこんな事をやっていたのか?  胸にズキンと鋭い痛みが襲う。 「んっ、出るっ……」  容赦なく追い立てられて、大きな掌に白濁液を吐き出してしまった。  後ろからぎゅっと抱きしめられ、なんだかよくわからないけど心臓が高鳴る。    ほどなくして、窄まりからケンが抜け出る気配がした。  振り返ると、ゴムの後始末をしている。    こいつ、いつの間に装着したんだ?  ていうか、なんでゴムを持ってんの?  そんな場違いなことを考えながら、素早く衣服を整えると、無言で部屋を飛び出した。

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