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第11話

 先輩からメッセージがいくつもきているが、既読する気にもなれず放置する。  体がだるくて、何も考えられない。  全てを放置して、俺は布団の中で、ひたすら眠り続けた。  月曜日、玄関を出ると、ケンが立っていた。  紙袋を差し出される。  中を見ると、先輩のDVDだった。  そうだ、あのまま部屋に忘れていったんだ。   「体、大丈夫?」  後ろからボソリと呟く声が聞こえたけど、無視して歩く。 「俺、謝らないから」  声は勝手に続く。  これ以上、聞きたくなくて思いっきり走る。  なんだよ、それ。  普通、謝るだろ。  俺の意思を無視して、あんなことを勝手にしたんだから、まず、謝るところだろ?  言い訳しろよ、なんで、あんなことをしたのか。  俺のことをどう思っているか、ちゃんと説明しろよ……。  昼休みに先輩の教室に行って、DVDを返した。  先輩は、「本気なんだ」とか、ゴニョゴニョと訳のわからないことを言っていたけど、ケンのことで頭がいっぱいで、それどころじゃない。  ウジウジと悩んで、はっきりしないのは嫌だ。  ちゃんとケンと話し合って、この胸のモヤモヤをすっきりさせよう。  そう決心すると、部活を休む旨、先輩に伝言を頼んで教室をあとにした。

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