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その後の話
人気絶頂の俳優の突然の引退は、しばらく世間を騒がせた。ファンからも同業者からも引退するなと懇願されたが、それでも悠仁の気持ちは変わらなかった。
そして、違約金等いろいろ払って余ったお金で悠仁はカフェを開いた。もちろん、広幸もそのカフェで働いている。
そこまでたくさんのお金が余らなかったので、本当に小さなカフェだが、いつもたくさんの人が訪れた。
元人気俳優の悠仁が経営するカフェという理由もあるが、そこで提供される料理が美味しいと評判を呼んでいるという理由もある。
カフェで提供する料理は、すべて広幸の手作りだ。ただの家庭料理だったり、デザートだったり。ありふれたものしか出していないが、優しい味がしてホッとするとリピーターが続出した。
毎日2人で一緒にいられて、お客さんがたくさん来て大変な時もあるが、2人は幸せだった。
「今日もいっぱいお客さんが来たね」
「そうだな。ったく。あんなに広幸の料理が人気出て、俺嫉妬しそう」
「何言ってるんだよ」
悠仁の淹れたミルクティーを2人で飲みながら、夜の時間をゆっくりと過ごしていた。今日来たお客さんのこと、明日は定休日だから何をして過ごそうとか。そんなことを話していたら、23時を過ぎていた。
「お。そろそろ風呂にでも入って、ゆっくり寝ますか」
「もう。急に話をそらしても、明日は子パンダの1日の映画見に行くからね」
「……………わかった」
まだ明日の予定のことで納得のいっていない悠仁の頬を、広幸は指でつついた。ムスッとした悠仁の表情が可愛くて。
「で、子パンダの1日を見終わったら一緒に悠仁の行きたいところに行こう」
「仕方ない。それで手を打とう」
「でも、悠仁の行きたいところってなに?」
「ん?指輪買いに行くの。お前にプロポーズするためのな」
さらりと当たり前のことのように宣言した悠仁。一瞬何を言われたか分からなかった広幸だが、理解したとたん一気に顔を赤くした。
「ぷ、ぷろ、ぷろぽーじゅ!?」
「そう。だから、明日楽しみにしてて」
急なことでどうしたらいいか分からず、広幸が気づいた時には泣きながら悠仁に抱きついていた。
次の日、指輪の値段で悠仁と広幸は喧嘩をしたが後に訪れる幸せを思えば、喧嘩すら幸せだと感じている2人だった。
END
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