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Ⅰ 守りたい③
兄上が大好きだよ。
俺は、兄上を尊敬している。
生まれながらにして将軍の兄上は幼い頃から帝王学を学び、政 を実践している。
そんな兄上が倒れたのは半年前だ。
今も意識が戻らない。
兄上を廃嫡し、俺を新たな将軍に立てる動きがあるけれど、そんな事絶対させない!
俺が兄上を守るよ。
兄上が起きるまで、俺が城下の話をするから聞いてね。
兄上の守る江戸の町
「今日も城下は楽しかったよ」
ぎゅっ、と眠る手を握った刹那
風がふわりと舞った。
「………誰?」
黒髪が揺れた。
漆黒の衣をまとった見知らぬ青年が立っている。
妖艶な唇がクッと上がった。
『死神だ』
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