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Ⅴ そこにいる③
「俺の《アヲイ》の力は《浄化》。此の世の不浄なもの、悪しき怨念の一切を清浄する。
だが、その力はこの肉体があって完璧に発動できる。お前が俺の魂魄を肉体に戻してくれから、生き返る事ができた」
あの……
俺、理解できてないんですけど~
「まだ気づいてないのか」
……と言うと?
「お前の《アヲイ》は魂魄の移動。生者にキスすれば、肉体から魂魄を引き離し、魂魄にキスすればその魂魄を肉体に引き戻す」
なんですとー!
………………知らなかった。
死神は御神刀《葵》を使役した。
死神は徳川の血を引く者。死神が兄上で、死神が消えたら兄上が目醒めて……
うっ、うぅ、ううぅ~
合点がいってしまう。
「大体、お前」
「わっ」
ガシッ
肩を掴まれて、急接近
目の前に兄上の顔がある。まさに至近距離★ちゅーできてしまうよ。キャー!!
「俺の顔、忘れたのか」
プルプルプル
首を振る事で精一杯。
兄上に見つめられてどうしよう。
頬っぺたが熱い。俺、耳まで真っ赤だ。
「死神の顔が俺と同じで気づかない方がおかしい」
「それは、だって!」
兄上は隣で寝てるんだから。
他人の空似とおもうじゃないかーっ
「だって、それに」
そもそもなぜ、兄上は死神になったんだ。
「餌が必要だったんだよ」
徳川が治める世となった今も不満は起こる。
大きな不満が江戸を飲み込み、争乱の悪意となる前に浄化する必要があった。
「ちなみに俺の《アヲイ》《浄化》は魂魄が肉体を離れなければ悪意を取り込めない」
「そうなの?」
「そうだ」
世間は、はろうぃん祭🎃
「ケルトの悪霊ごと江戸の悪意を《浄化》してやった」
それじゃあ、はろうぃん祭も全部仕組まれた事だっていうのか。
「三浦按針は幕府高官だ。外交の要職であるきゃつの持つ情報が外部に漏れる訳ないだろう」
なぬー🎃
わざと……
三浦按針を使って、はろうぃん祭🎃を世に広めたのは、この人だ。
兄上が黒幕だ!!
「江戸の民は楽しんでいる。面白い祭だな」
「面白くないー!」
俺、すごく心配して。
めちゃくちゃ泣いて……
……………あれ?
「兄上、質問」
「はい、忠長」
「俺……兄上とちゅちゅちゅ」
「ちゅー」
それ★
「ちゅ…う……した覚えないんだけど」
それはな……
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