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第2話

「俺は、一度も日本のリョカンというやつに行ったことがない。だからリョカンに行きたい」 「旅館?」 見れば、パンフレットの表紙はロケ地かと思うほど見事な日本家屋が写っている。 「あー、旅館かぁ、俺もしばらく行ってないなー」 流れで、パンフレットをパラパラとめくった。 「そうなのか? 日本人は旅といえばみんなリョカンに行くんじゃないのか?」 「最近はホテルとかリゾートとかが多いからね。改まって旅館っつのはなかなか泊まらないよなぁ。俺も墨入れてるし」 「タトゥーが何か関係あるのか?」 「日本の大衆浴場っていうのは、ほとんどが刺青入れてる奴は入れないんだよ」 「oh… そうなのか。でも大衆浴場だったら、セントーもそうだろ? 一緒に行ったじゃないか」 「アレは営業時間外だからな。おっちゃんの厚意でいれてもらってるだけなんだよ」 「そうなのか!」 いちいちリアクションするのが可愛い。 「旅館ねー、いいんじゃない? 行くならまたどっか海外かと思ったけど」 「海外ならすぐ行けるだろ、リョカンはそうはいかないさ」 「普通逆だからな」 富豪の彼が是非行きたいって言うんだから、行ってみようじゃないか。

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