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第3話

しかし俺に宿を選ぶ余地はなかった。 「もう宿は予約してるんだ、さっきの契約の話をする前に予約済みだ!」 「はっ?」 ものっすごいいい笑顔で言うからツッコむタイミングを逃した。 「数ヶ月待ちだと言うからな、善は急げだろ?」 「何ヶ月前から予約してたんだよ!」 そんな素振り全然なかったのに! 「日本の中でもすげぇ老舗のリョカンらしいぜ、政治家や財界人しか来ないらしい。ホームページもないところみたいでな、人伝で探すの大変だったんだ」 それを聞いてサッと血の気が引く。 「何それ? 一体どこに行こうとしてんの?」 「リョカンさ!そのためにしっかり仕事したんだからな!」 しまいにエヘンと胸を張る。 俺の心配や不安をよそに。 「じゃあこのパンフレットは?」 どこにでもある普通の旅行のパンフレットだ。 とてもそんな高級宿のものではない。 「ああ、ただ参考にしただけで、ここには載ってないリョカンさ!」 「意味ねぇ!今の一連の会話もろもろ意味ねぇ!」 馬鹿らしくなってパンフレットをテーブルに置くと、そのまま抱きしめられた。 「やっと新婚旅行に行けるなハニー、式もしたわけじゃないから、これくらいしか新婚のオプションらしいことをしてやれない」

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