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第8話
詳しい場所は知らされなかったものの、高速込みでたっぷり3時間半はかかる場所に行くんだそうな。
何回かどこに行くのか聞いたけど、全然教えてくれなかった。それも込みでサプライズなんだそうで。それならもうゆっくりするしかない。
「Heyハニー、1杯どうだ?」
腰を落ち着けて車が走り出すと、彼がソファの真向かいにあるバーカウンターに立った。流石に天井が低いから窮屈そうだけど、1杯作ってくれるそうだから甘えよう。
「酒何あるの?」
「あまり種類はないが、ある程度のものなら作れるぜ」
「シャンディガフは?」
「シャンディガフ? 珍しいな、ビールじゃないのか?」
「今そんな気分なの。一応ビールじゃん」
スキンヘッドのバーテンダーは、意外と慣れた様子でカクテルを作る。
「お前酒作れんだな、知らなかった」
ちょっと手際を感心して見てると
「練習したのさ、今日のためにな」
と微笑んでくる。いつの間に練習したんだか、1日ほとんど一緒にいるのに。それも込みでサプライズってか?
あっという間にシャンディガフを仕上げて、俺に手渡して来た。
「味見してくれないか、新人バーテンダーだから上手くはないだろうが」
戯けて言う。上等な、そしてどこか優しい味がする。美味いよと笑い返すと、彼は少し照れ臭そうに笑った。
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