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いちゃいちゃ
「もうちょっと寝ようぜ!」
「えー………」
「な、膝枕して!」
「………いいけど………………」
一度ベッドから立ち上がったアキが、俺のいる布団の中にダイブし潜り込んできた
そして俺の太ももの上に頭を乗せ寝転ぶ
もちもち〜と言いながら俺の太ももに顔を埋めるアキの後頭部にチョップをする
「な、今何時かな」
「えっと………………うぎゃっ!!」
膝の上で寝転ぶアキに尋ねられ、ベッドの下のカバンの中のスマホに手を伸ばす
30パーセントしかバッテリーの残りがないスマホを開くと、時間よりも先に目に飛び込んだのは大量の不在着信
“姉(ゴリラ)”の文字がずらりと並んでいる
ゾッとして思わず間抜けな声を上げてスマホをポイッとベッドに放り投げる
「ん?どうした?」
「電話、すごい掛かってきてて………」
「ん?うわ、すげえ着信履歴…」
「ギャーッ!掛かってきた!!」
スマホを拾い上げアキに画面を見せると、アキもうわぁと言って驚いている
すると手に持ったスマホが振動し始め、画面には“姉(ゴリラ)”の文字
どうしよう、これ絶対怒ってる……!!
でも出なきゃもっと怒られる………っ
覚悟を決め、恐る恐る画面をタップしスマホを耳に当てた
『テメェコラバカ翔!!何回掛けたと思ってんの!!』
案の定、スマホの奥からは怒鳴り声
キーンと鳴り響くノイズのあまりのうるささにスマホを耳から離したが、それでも姉ちゃんの怒鳴り声は聞こえる
「ご、ごめ……」
『ごめんじゃないのよ!今何時だと思ってるわけ!!朝まで連絡もしないでどこほっつき歩いてんのこのバカ弟!』
「いや、あの…………あっ…」
ひぃひぃと姉の電話越しの洗礼を受け何も言えずに口ごもっていると、アキが俺の右手からパッとスマホを奪い取った
そして至って普通の面持ちでそれを耳に当て話し出す
「みさきさん、オレです、輝です」
『あ゛!?』
「翔今、オレの家にいます」
アキが体を起こして話し始めると、怒鳴っていた姉ちゃんの声が俺の耳に届かなくなった
アキははい、はい、と相槌を打ち時折ハハハと照れたように頭を掻きながら談笑しているみたいだった
それを呆然と見ているだけの俺
「翔はオレが必ず家まで責任持って送り届けます」
真剣な面持ちで正座をしながら言うアキ
会話の流れもよく分からないが、そんなこと言われたら分からなくても照れてしまう
「え、いいんですか!?」
するとスマホを耳に当てるアキがパッと顔を上げ、途端にキラキラと瞳を輝かせ出した
そして見えもしない相手にぺこぺこと頭を下げ何度もありがとうございます、と言うと通話を切ってスマホを耳から離す
何だか俺だけ蚊帳の外みたいで拗ねて背中を向けていると、急にアキの逞しい腕が後ろから俺の首に巻きついてきた
「っやめろ!はなせっ!!」
「今日までオレんち、泊まってていいってさ!!」
俺の肩越しにアキの歓喜に満ち溢れた声が聞こえた
ぎゅっとバックハグをされた俺は、アキから告げられた言葉に少しだけ頬を染め胸を踊らせる
今日も、お泊まりしていいんだ………
にやけそうになる顔を必死に引き締め眉間にしわを寄せようとするとちょっと変な顔になる
「みさきさんからお許しもらったぜ!」
「な、何て言ってたんだよ…」
「ん〜?ないしょ〜」
尋ねる俺ににこりと笑いかけて誤魔化し、そしてそのまま俺をガバッとベッドに押し倒して首筋に顔を埋められる
そしてちゅっちゅと何度も可愛らしいキスをされる
「今日は1日中いちゃいちゃできるな!」
「〜〜〜〜〜〜っ!!っっしない!!どけ!!!」
「だめー!今日は記念日なのでいちゃいちゃデーです!」
「なんでだよ!ばかっ、放せ!」
「あ、コラ、逃げんなって」
「シャワーあびてく…痛っ!!!」
アキの腕の間をすり抜けて立ち上がろうとすると、腰やお尻にビキビキッと鋭い痛みが走った
俺は立ち上がることができず、力が抜けるようにベッドに腰を下ろす
昨日のセックスで、腰とお尻が……………っ
「大丈夫か!?」
アキが慌ててベッドから立ち上がり俺の前にしゃがみ込む
やけに整った綺麗な顔が俺を心配そうに見つめる
「………………………だっこ」
そんな目の前の彼氏に、両手を広げて差し出した
元はと言えば、昨日アキが俺を激しく抱いたことが原因なんだ
あんなにガンガン掘られるなんて、聞いてなかったもん
俺の体が痛いのも全部、アキのせいだもん
だから責任持って介抱させてやる
「昨日も同じようなこと言ってたな?」
そう言ってにやにや笑うアキ
アキの言葉に昨日の情事中の光景を思い出してまた恥ずかしくなり顔が熱くなる
「ん!」
「はいはい、おいで」
恥ずかしさを誤魔化すように両手をバタバタさせて急かすと、ふふっと笑って俺を軽々と抱き上げた
俺を抱き抱えて歩き出す上半身裸のアキにしがみ付き、肩にぺたりとほっぺたをくっ付ける
アキの髪からはシャンプーのいい匂いがした
脱衣所に向かう途中、アキの大きな手が俺のお尻をむにむにと揉んで来る
「っあ!!ばか、揉むなっ…ヘンタイ!!」
「だってムチムチで気持ちいいんだもん」
「む、ムチムチってゆーな!!」
アキの背中をドンドンと殴るとお尻を揉む手が止まった
それに安堵しまたアキの背中にぎゅっとしがみ付く
脱衣所に到着するとアキが俺を丁寧に下ろし、またあとでなと言って出て行った
アキが着せてくれた真っ白のTシャツを脱ぬ
体を動かすたびに関節がポキポキと音を立てる
「ぁう………まだちょっと開いてる……」
ふと思い付いて下着を脱ぎ、大きな鏡にお尻を向けた
そしてぐっとお尻を突き出し、昨日アキにめちゃくちゃにされた自分の穴の安否を確認する
横目で確認した俺の穴は、まだ少し口を開けて時折きゅんと呼吸をしていた
そりゃあんな太くてでかいものを何度も出し入れされたんだ
無事なわけがない
辛うじて痔は回避しているようだが
「ん………?」
すると俺のお尻に、赤い斑点のようなものがいくつもあることに気が付いた
上体を起こしまっすぐ立って鏡に向き合うと、そこに写っていたのは首や肩、胸や腹や腕それに太ももにまで残された赤い鬱血痕
数え切れないくらいのそれがこれでもかと言うくらいに体中に散りばめられていた
こ、これって、キスマーク………!?
しかもこんなにいっぱい…………っ
「アキーーーーーーーッ!!!!!!」
爽やかな朝に俺の怒鳴り声が響いた
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