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Memory:1 春川 love the End

大好きだった。本当に、今でも心の底から愛してる。 「は…?今、なんて…?」 「だから、別れようって言ってんの。」 俺の言葉に絶句して、微かに震える恋人を、抱き締めたくなった。 傷ついた顔、悲しみのどん底へと堕ちていく顔…、そんな顔を見たいわけじゃないんだ。 「俺のこと、嫌いになったの…?」 「…ははっ、嫌いなんて感情すらない。 この意味、わかる?」 「…っ、」 六年付き合った。毎日が幸せで、これが一生続けばいいって、続くんだって、信じて疑わなかった。 けど、俺はもうお前の隣にいられなくなった。 「好きだったよ、お前のこと。でもなんかなぁ…冷めたとかの話じゃなくてさ。」 「…は、る、」 「興味なくなったんだわ。…あ、これを"冷めた"っつーのか?あははっ!」 嘲笑って、見下して、言ってやった。 頼むから、俺を軽蔑して、心底嫌いになってくれ。 「これ以上一緒にいても、お互い時間の無駄じゃん?」 「っ、」 パンッ!と乾いた音が響いて、次第にヒリヒリと頬が痛み出す。 「…いってぇなぁ…?」 「春川、おまえ…、おまえなんか…っ!死んでしまえ!」 そう言って、恋人は走り去った。今までで一番本気で怒らせて、本気で泣かせた。 こうして、俺の長い恋は、終わりを告げた。

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