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Memory:2
好きな人を手放さなければならなかった理由、それは…。
『君の余命は、あとーーー。』
俺の命が、終わろうとしているからだ。
「…はぁ。嫌んなるねー、まったく。」
死ぬのは怖くない。けど、俺がいなくなったあと、あいつが一人でしぬほど泣くのかと思うと…怖い。
一人残して、逝きたくなかった。
だから、こんな最悪な選択をしたんだ。
「きっと俺は、地獄に堕ちるよ。だから、お前は…安心して他の奴と幸せになってくれ。」
そのために俺の最悪な選択は、まだ続いてんだ。
「お前、琥太郎と別れたって、どういうことだよ!?」
「どうもこうも…そういうことだけど?」
俺の胸ぐらを掴むのは、琥太郎の幼馴染、如月(きさらぎ)。
こいつは昔から琥太郎が好きだった。
だから俺のことは毛嫌いしていて、仲も良くはない。…でも最近は、少しずつだけど距離が縮まってきてたと思う。
今となっては、前よりもずっとずっと離れてしまったのが残念だけど。
「…っ、なんで…、なんでだよっ!やっと、俺は…琥太郎の事を……っ!」
「ハッ、つかなんで俺お前に責められないといけねえわけ?別れたんだから、むしろ感謝しろよ。」
「…っ!」
胸ぐらを掴む手を振り払い、鼻で笑いながらそう言った瞬間、勢いよく拳が飛んできて、俺の頬に命中した。
「い…ってぇなぁ…、」
琥太郎に殴られた所と同じ場所。
尻餅をつきながら、頬に手をやり、如月を見上げた。
「…てめぇ…、ふざけんのも大概にしとけよ…?俺がどんな思いで、琥太郎を諦めたと思ってる…?
お前のことだって、少しは……っ!」
「チッ、うるせえよ。俺とあいつの問題に、部外者のお前が口出してんじゃねえ。そんなにあいつが大事なら、俺から奪っていけよ。
ま、俺の中古で悪りぃけど…ハハハッ!」
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