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「そういえば、俺に会いに来るの、よく如月が許したな?」
琥太郎専用セコムだし、しかも相手は俺なのに…。
「…華南だよ、春川に会いに行けって言ったの。」
「え…。」
意外な答えだった。まかさあの如月が琥太郎にそんなこと言うなんて…。
「俺、春川のこと突き放したし…、気付いてやれなかったこともあって、会いに行くの迷ったんだ…。」
「………。」
「そしたら華南がさ、『お前が後悔しないならそれでいい。けど、あの馬鹿が死んだ後、しぬほど後悔するなら会いに行け』って言ってくれて…。」
「…ハハッ、如月も馬鹿だな!」
琥太郎が会うのを躊躇ったのに、一歩踏み出すキッカケ与えて…、これでまた、一から琥太郎振り向かせるの頑張らなきゃな。
「…あいつが、俺と同じ馬鹿でよかったよ。」
琥太郎の事、一番に考えてくれるやつで…よかった。
「……春川。」
「ん?…っうわ、なんだよ急に…。」
突然、床に押し倒してきた琥太郎にビックリする。不意打ちとはいえ、いとも簡単に押し倒される俺を見て、琥太郎が何を思ったか、口に出さなくてもわかった。
「こたろーくん?無言で服めくるのやめてくれるかなぁ?」
「………。」
腹部が空気に触れ、ヒヤリとする。俺の腹はもうあの時とは違うから、若干見られて恥ずかしくなった俺は、控えめに服を下ろそうとした。
「…ちなみに、今ヤッたら絶対腹上死するから無理だぞ。」
「ヤんないよ、バカ…。」
だが、俺の服を掴んだまま離さない琥太郎のせいで、情けないボディーはずっと晒されたままになる。
「じゃあ、なに…」
「生きてる。」
「ん?」
「春川、ちゃんと生きてる。」
「…うん。」
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