26 / 47

Memory:26

「そういえば、俺に会いに来るの、よく如月が許したな?」 琥太郎専用セコムだし、しかも相手は俺なのに…。 「…華南だよ、春川に会いに行けって言ったの。」 「え…。」 意外な答えだった。まかさあの如月が琥太郎にそんなこと言うなんて…。 「俺、春川のこと突き放したし…、気付いてやれなかったこともあって、会いに行くの迷ったんだ…。」 「………。」 「そしたら華南がさ、『お前が後悔しないならそれでいい。けど、あの馬鹿が死んだ後、しぬほど後悔するなら会いに行け』って言ってくれて…。」 「…ハハッ、如月も馬鹿だな!」 琥太郎が会うのを躊躇ったのに、一歩踏み出すキッカケ与えて…、これでまた、一から琥太郎振り向かせるの頑張らなきゃな。 「…あいつが、俺と同じ馬鹿でよかったよ。」 琥太郎の事、一番に考えてくれるやつで…よかった。 「……春川。」 「ん?…っうわ、なんだよ急に…。」 突然、床に押し倒してきた琥太郎にビックリする。不意打ちとはいえ、いとも簡単に押し倒される俺を見て、琥太郎が何を思ったか、口に出さなくてもわかった。 「こたろーくん?無言で服めくるのやめてくれるかなぁ?」 「………。」 腹部が空気に触れ、ヒヤリとする。俺の腹はもうあの時とは違うから、若干見られて恥ずかしくなった俺は、控えめに服を下ろそうとした。 「…ちなみに、今ヤッたら絶対腹上死するから無理だぞ。」 「ヤんないよ、バカ…。」 だが、俺の服を掴んだまま離さない琥太郎のせいで、情けないボディーはずっと晒されたままになる。 「じゃあ、なに…」 「生きてる。」 「ん?」 「春川、ちゃんと生きてる。」 「…うん。」

ともだちにシェアしよう!