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Memory:25
「でも、お前…、如月と付き合ってんだろ?別に俺が死ぬからって、無理して戻って来なくてよかったんだぜ…?」
「……怒るよ。」
「ええ…、なぜ…。」
戻って来てくれたのは嬉しいけど、やっぱりそれだと如月が不憫すぎるというか、何というか…。生死の域になると何も言えなくなりそうで、流石に罪悪感が募る。
「俺は如月と付き合ってない。付き合ってたら、お前に会いに来たりしない…わかれよ。」
「え、だって、前に手繋いで歩いてんの見たぜ?俺に気遣ってんなら…」
「あれは違うっ!!あれは…っ、華南がどうしてもって…!」
「華南?」
琥太郎の口から出た名前…如月の下の名前だ。
今まで如月呼びだったのに、俺がいない間に相当仲を深めたらしい。
「あ…っ、だから、それも違うから…!」
「ふーーーーん………いいんじゃない、キサラギでもカナンでも。俺は別に何とも思ってないよ、シンバシくん。」
「……自分だって、時雨のこと……。」
「あ?千都世?」
「ほら!名前で呼ぶじゃん!仲良いですね〜そうですよね〜彼はなんでも知ってますもんね〜俺が何も知らない間も、あいつは全部知ってたもんね〜!!」
プイッとソッポを向いて頬を膨らます。琥太郎も琥太郎で、千都世に嫉妬してるらしい。
「……っふは、ハハッ!」
「…笑い事じゃないんですけど?…フフッ!」
二人で向かい合って、笑い合った。
俺が大好きだった時間。
こんな俺に、こんな幸せがあっていいのかなって、ちょっと怖くなった。
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