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第70話

パンケーキファイトとデートの日 その5 散々照さん先頭に色々お店巡りをして、何回も照さんの疑惑の目を掠めてなんとか夕方広尾駅で橋下兄弟とお別れすることができた。 良かった、ばれなかった〜〜 そして、2人きりになった僕たちも、 約束していた安藤君の行きたいというところに向かった。 行く先は内緒ということで、 地下鉄に乗り継いで、着いた先。 そこは古いビルの屋上。 僕ら以外誰もいない屋上から、新宿の街が見える、見渡せる。 東京の空には星が見えないと思っていたけど、その代わりにビルの灯り、様々な灯りが星のように輝いて見える。 安藤君は自分のバッグから、瓶を一本グラスを2つ取り出した。 「 さっき、橋下先生たちと寄った店に置いてあったんだ。 スパークリングワイン、甘口だから飲みやすい ってお店の人に勧められて」 と話ながらグラスに注いでくれる。 来たかったところって 「 2人きりになれるところ 」 腰掛けにちょうど良い高さのコンクリートの台の上に並んで座りじっと夜景を眺める。 ずっと下の方から聞こえる街の音さえ、音楽に聞こえる。 「 朝さ、俺困らせた? 」 「 え?そんなこと……」 「 妬いたんだ。初めて俺が連れてったと思っていた店がもう、知り合いになってたじゃない 」 「 うん、知り合いっていうか、さっき話した割井さんがよく知ってたっていうだけだけど 」 「でも、あの人の名前まで知ってるとは思わなかったし 」 「 うん、 ごめんね 」 「 あ、謝ることなんかじゃない、 こっちこそ、気分悪くさせて、ごめん 」 僕はその時、アンクレットを、まだ渡してないことに気がついた。 今朝からのハプニングで渡しそびれてた。 あの、とバッグから封筒に入ったアンクレットを安藤君に渡す。 安藤君が手の中の封筒を見ながら 「 これは? 」 「 うん、中見てみて 」 「 え? 」 目の前にアンクレットをかざし、 「 これって 」 「 僕の手作りだから少し素人っぽいかもしれないけど、 作ったんだ、安藤君に その色、安藤君ぽいかなと思って 」 グラスを置いて、脚をおもむろに台の上にあげて、足首に巻いた。 「 これ最後こうするんだよ 」 と僕が前に屈んで仕上げをする。 やっぱり安藤君の男らしくしまった足首によく似合ってる。 良かった。

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