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第163話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その24
どんな店なの?ポールに絡みつきダンスを踊りだした半裸姿の男たち。
嶺さんはもちろん、後の3人もさほど驚いてないけど僕はあっけにとられて思わずバーボンのグラスを飲み干した。
「 おいおい、いい飲みっぷりだけど、酔っ払っちゃう前に用すますか 」
と嶺さんがボーイを呼ぶと何か耳打ちした。
ダンスの途中の男が客席を腰をくねらせて練り歩く。
嶺さんは指を上げてその中の1人を呼ぶ、近寄ったダンサーは嶺さんにアピールするように腰を振りその半分透けた紐下着を腰骨の下まで下ろした。
「 ぎゃっ! 」
僕は思わず固く目を瞑る。
「 お前、自分がやるのは平気なのに人のはダメなのって、変なやつだな〜 」
と流星が呑気に僕のことを言ってるのが聞こえる。
目を開けるとダンサーのお尻の谷間に嶺さんがしっかりと万札を挟むとこだった。
「 三枝君、このダンサーのバイトもあるよ 」
またもやブンブンと否定の首を振る。
嶺さんの僕へのからかいを聞いた安藤君はどう思ってる?
リアクションのない安藤君が
さっきから気になっている僕。安藤君の方を見るとグラスを手にしてぼんやりとしていた。僕が見つめているのも気がつかないみたい。
どうしたんだろ?やっぱりこんなところまで来て後悔してる?
今夜、泉君に会って、預かった封筒を渡し伝言を伝えればこんなことは終わりだと話したいけど、
声がかけづらい。
奥へ行ったボーイが暫くすると席に寄ってき。
「 大丈夫だそうです」
と、こちらへと手ぶりで案内するのについて行く。奥のスタッフと書かれたドアから更に中に入ると通路の先に大きめのドアがありその中に案内される。
酷く明るいその部屋はこの店に似つかわしくないほど事務的な部屋だった。
灰色のロッカーが壁一面に並び、正面には何卓かいかにも事務をします、という机が並んでいる。
その1つの机の前に座っていた男の人が立ち上がった。
「 山尾さん、いらっしゃい。
今夜はまたどのようなご用ですか? 」
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