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第162話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その23
暫く走るととあるビルの前でタクシーは止まる。
そのままネオンサインが眩しい入り口から中に入ると、黒い両開きのドアの前に黒人の用心棒が立っている。
嶺さんが何かカードのようなものを見せると、人数だけ確認してドアが開けられた。
ドアの外は渋谷の繁華街の喧騒でうるさかったけど、ドアの中の煩さはそんなもんじゃない。
唸るようなリズムがハウリングする中、真っ黒な空間の真ん中には煌々と輝くステージ、そして真ん中に何本かのポールが立っているのが見える。
ポールの中には照明が仕込まれてるのかキラキラと光の帯が流れている。
あっと小野さんが小さく呟いた声が意外にも僕の耳には聞こえた。酷く緊張してるんだな。
暗闇に慣れてくると僕らがゆっくりと歩いている前には円形に客席が並び、結構人が座っているのが見えてきた。
さまざまな髪の色、さまざまな服装、そして日本語じゃない会話も聞こえてくる。
ここってと流星が嶺さんに声をかけると、
「 まぁ、ステージ見てりゃ今からわかるさ 」
とさっさと前の方の案内された席に座る。円形のソファは5.6人はゆうに座れる大きなもので、それが十数席もあるということで、この店の大きさがわかる。
5人で座り、飲み物のオーダーを聞かれるけど値段も分からなくて選ぶのに困ってる僕らに嶺さんは簡単にバーボンのボトル、ソーダ割りで、と頼んでしまった。
「 飲めるだろ?今日はデモビデオも見せてもらったことだし俺のおごりな 」
と更にこちらの負担を増やす結果になる怖いことを言われた。
バニーの格好をした女の人がバーボンとグラスソーダや氷を持ってやってくる。それぞれに話しかけにこやかにお酒のグラスを手渡すと投げキッスまでしてくれるから、僕は真っ赤になってしまった。
「 なんだ、かわいいな~
三枝君もバニーちゃんが似合いそうだな、ここでバイトする? 」
僕が驚いてブンブンと頭を横に降ると嶺さんは僕の頭を撫でながら器用に女の人のバストの間にお札を入れた。
女の下は嶺さんには特別ほっぺたにキスをするとハイヒールを履き丸い尻尾のついたキュッと上がったお尻をフリフリしながら戻っていった。
どんな店なの?ここは……
舞台では半裸の男たちが出てきて激しくポールにまとわりつきダンスが始まった。
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