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第161話

いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その22 「 君たちはどこまで知ってるんだ? 」 と嶺さんに逆に問われる。 「 僕は伝言され預かって渡してくれ、そして返事を聞いてくれと言われただけです。返事のする先は聞きましたけど 」 「 うん、そっか……俺の口から彼らの関係を知っていても言うわけにはいかないけど、 どうする?泉くんに預かったものを渡して話をするかい? 」 「 ええ、そうしたいんですけど。 いなくなっちゃったし 」 「 うん、行く先はわかってるから、これからついてくるかい? 」 「 え?わかってる?それなら、もちろん行きます 」 そして僕達と嶺さんはその場所へ行くことになったけれど、その前に今回のデモビデオの事ではきちんと釘をさされた。 「 あのデモは、君たちとしては僕と泉くんに会う囮なのかもしれないけど、しっかり俺としてはデモとして見たことになってる。 俺の時間を使ったことは事実だ。 なかなか良い感じだったし、企画を進めるつもりだ。 その時は出てもらうようになるかもしれない。こういう世界はいい加減なようでも、それは違う。 人を使った責任はしっかり取ってもらうよ 」 と脅かされた。 どうなるんだろう。さまざまな不安で足取りも重い僕の横で、安藤くんは相変わらず黙ったまま。 デモとはいえ、あんな姿を晒した僕に 呆れているんだろうか? それでも最後までついてきてくれるのかな。 タクシーを二台止めて、小野さんに嶺さんが行く場所を伝える。嶺さんと流星、小野さんと僕と安藤くんが分かれて乗車すると車は渋谷方面に走り出した。 「 彼まで連れてきて良かったの? 」 と小野さんが僕に尋ねる。 そうだよねと、 「 ごめんね、こんなことに付き合わせちゃって 」 と安藤君に小さく謝るが、 安藤くんは僕の方を一瞬見てから、目をそらした。 え?なんで?凄いショックだよ僕。 「 最後まで、その預かりものを渡すまでは見届ける 」 という安藤くんの声が遠くから聞こえてくる。 僕はタクシーの中で預かりものの入っているバッグを握りしめてすっかり落ち込んだ。

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