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逆転アディクション おまけ①

◇ ◇ ◇ 『拝啓、見知らぬ仏様へ』 相変わらず、最初の挨拶の書き方が分かりませんが、まず初めに言いたいのは、神様に書いても一切意味が無かったので、仏様に書いた、ということです。 お疲れ様です。 今日、鮫島さんが死にました。 俺の知らないうちに死んでやがりました。 神様が俺と鮫島さんを無理矢理引き合わせて何ヶ月経ったか忘れましたが、あの人が死んで、俺の頭の中は喜びに満ち溢れています。 喜んで、喜んで、喜び過ぎて、きっと、俺の頭はおかしくなったんだと思います。 悲しくない、寂しくない、は嘘です。 あの人が居なくなり、悲しいと感じました。 あの人が居なくなり、寂しいと感じました。 これは俺の心の誤作動です。 そろそろ、俺も壊れて死ねるのでしょうか? ならば、鮫島さんと一緒に俺も死んでしまえば良かったと思います。 居なくなってから気付くなんて、とんだ皮肉です。 俺は、鮫島さんが、……きなんだと思います。 頭がイカれたんだと思います。 ですが、俺の頭は悲しみに満ち溢れています。 仏様、どうか、もう一度だけ、あの人に会わせてください。 お願いします。 敬具 西海史スエキ

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