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プロローグ 追放

 王の間の煌びやかな雰囲気には、いつまで経っても慣れやしない。人間の王の前に跪いた俺を縛る、数本の鎖。その端は後ろに並んだ数人の騎士が持っている。  俺が、この城に連れて来られて十何年、久しぶりに年老いた王の顔を見たと思ったら、この状況は一体なんだ? 「レオ、お前は禁忌を犯した!依って、お前には罰を与え、この国から追放する!」 「ふざけるな!俺は何もしてねぇぞ!」  禁忌など身に覚えがない。これが怒鳴らずにいられるか!身を捩り、強く抵抗してみたが、重い数本の鎖がガシャガシャと騒がしい音を立てただけだった。 「ブルハ、やれ」  王が隣に立った魔族の女に顎で指示を出した。黒いフードを深く被った怪しい女。くそ、また変な女に誑かされやがって! 「おい!何故だ!俺があんたの愛人の子供だからか!?」 「黙れ!レオ!」  そう俺を叱咤(しった)したのは王の間の角に立った王の本妻の息子であるアスルだった。黒髪の俺とは正反対の眩しい金髪。餓鬼の頃は病弱だったくせに……、そうか、そいつが王になることが決まったからか。  リューシヴ王が退座したら、この国は何て名になるんだ?自分の名を国の名にするなんざ、本当に馬鹿らしい。 「王の命に依り、お前に罰を与える。お前は今日からアルファではなくオメガとして生きていけ。自分で命を絶とうとは思うなよ?我が魔法に依って、それを禁じる。さらばだ、レオ」  ブルハは冷たく言い放ち、俺の額に両手を翳した。瞬時に緑色の閃光が小さな円と五芒星を描き出す。 「やめろ!ふざけるな!」  半分だが王の血を引いた俺はアルファとして生まれ先日、やっと自分の部隊を持てるようになった。それなのに、禁忌だと?ふざけるな! 「やめろぉぉおおお!!」  緑の閃光が頭上で弾け飛んだ瞬間、俺はあまりにも簡単に意識を失った。

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