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第66話
「で、何で一緒に暮らすんですか。」
食事を終えて、会長がいれてくれた紅茶を飲んで、そう質問した。
「ん?距離を縮める為だが?」
「何で?」
「俺はお前の事を知らないから、知るにはそばに居るのが1番手っ取り早いと思った。」
「······無理矢理番にしようだなんて考えてませんよね?」
「ああ、今の所は考えていない。それはお互い理解し合ってからだ。」
今の所はって言った!
じゃあいつかはそうなるかもしれないってことだ。
「番にはなりませんよ!」
「今はな」
「これからも!」
「それはわからないぞ。お前も俺もお互いを選べば番になる。」
それはそうだけど······!
でも今は考えられない。
俺は会長のことを何も知らないけれど、だからこそ知らないといけないんだろうけど、でも勝手にこういうことをしてしまう人と番になんてなりたくない。
「ああ、そうだ。」
会長が座っていたソファーから突然立ち上がり、棚から小さな箱を持ってきた。
「これはお前への贈り物だ。受け取れ。」
「何ですかこれ。」
「開けてみろ」
箱を受け取って、開ける。
「──っ!?」
「それを今すぐ着けろ。命令だ。」
そう言われると体が勝手に動いた。
拒否したいのに出来ない。アルファとオメガの圧倒的な力の差を見せつけられる。
「こ、これ、首輪っ」
「ああ。お前が俺の物だという証だ。」
表面は黒の革でできてて、肌に当たる内側は同じ色の優しい肌触りの生地でできている。隅に書かれている文字は、俺でも知っている高級ブランドの名前だった。
「っ、······っ!」
「早く着けろ」
震える手で、自分の首に着いていた首輪をとり、今貰ったそれを着ける。
いつの間にか浅くなっていた呼吸。
隣に座った会長にそっと抱きしめられる。
「いい子だ。それは俺が許可を出した時だけ外せ。」
「お風呂は······?」
「その時だけ外してもいい。それ以外で着けていなかったらお仕置きだ。覚えておけ。」
そのまま顔が近付いてキスをされる。口内に舌が入ってきて当たった舌先がジンっと痺れる。
ああ、まるで食べられそうだ。口内を蹂躙され、体から力が抜けてソファーに押し倒された。
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