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第262話*

「そういうお前は? 言われたことあるの?」  兄もごろりと横になって、アクセルの茶髪を梳いてくる。  アクセルは目を細めて、答えた。 「兄上が亡くなるまではなかったけど、一人になった途端言われ始めたな。それでいろんな女性を紹介されたんだが、全然その気になれなくて、鍛錬を理由に逃げ回っていた」 「そうなんだ? それは初めて聞いたなあ」 「初めて言ったからな」 「でも、なんでその気になれなかったの? お前、女性嫌いだったっけ?」 「そういうわけじゃないが、兄上以外の人は興味なくて」 「本当? 奇遇だね。私もお前以外には興味なかったんだ。……ここだけの話だけど、他の人が相手だとなかなか勃たなくて」 「……え、そうなのか?」  ちらりと兄の下半身に目をやる。こうして話している間も、兄の欲望は萎えることなく、ずっと反応し続けていた。いつも元気で、何度やらかしても萎えない兄にしては、意外な言葉である。 「お前、ちょっと失礼なこと考えてない?」  ニヤリと微笑みながら言われたので、アクセルはぶんぶんと首を横に振った。  だが兄はニヤリとした笑みを崩さず、こちらの胸元に馬乗りになってきてこんなことを言いだす。 「そう言えばお前、フェラはやったことないよね?」 「あ、ああ……ないな」 「じゃあ練習してみようか。さっき私がしたようにやってごらん」 「えっ……!?」  いきなり目の前に欲望を突き付けられ、びっくりして数回瞬きする。  ――兄上がしたように……って、舐めろってことだよな……?  いいんだろうか。俺なんかがそんなことして。兄は上手だったから歯にも当たらず気持ちよかったけど、自分がやったら大事なところに歯を立ててしまうかもしれない。  というか、尊い兄の分身を口に入れるなんて、それだけで恐れ多くて気後れしてしまうのだが……。

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