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第261話*
「あ、出ちゃう」
「うあ……っ」
楔の先端から熱が迸り、夥しい量の欲望を注ぎ込まれた。空っぽだった腹が一気に重くなり、体内がねっとりした体液で満たされていく。
「はっ……あ、兄上……」
「……ふふ、本当にいい気持ち」
「っ……!?」
中に食い込んでいる欲望が再び硬さを取り戻し、アクセルはぎょっと目を見開いた。一回出した後すぐまた硬くなるのはよくあることだけど、今回は自分も二度イった後なので、少々身体が辛い。
「あの、兄上……申し訳ないんだが、ちょっと……」
「え? もう終わり?」
「そうじゃないが、一度抜いて欲しいんだ……」
「んー、そう? じゃあ少し休憩しようか」
ずるりと腰を引き抜かれ、ちゅぽんという音と共に兄が出て行く。圧迫感がなくなり、体内に出された熱の感覚だけが残った。
「…………」
アクセルは軽く自分の腹部に手を当てた。もう何度兄の精子を飲んできたかわからない。自分が女性だったら、とっくに妊娠していただろう。
だけど今更ながら思うのは、兄の遺伝子を後世に残してあげたかったなということだ。半永久的に生き続けるオーディンの眷属 とはいえ、好きな人の子供を育てるという楽しみだけは味わえない。生前の兄は結婚していなかったし、自分も子孫を残さなかったので、きっと我が家の血筋は断絶してしまっただろう。
――兄上の子、育ててみたかったな……。
もちろん、絶対無理なことはわかっているけど。でも兄の血を引く子なら、男の子でも女の子でも、強くて美しい子に成長するに違いない。
「どうしたの?」
叶わない妄想を繰り広げていたら、兄に頬をつつかれた。
アクセルはごろりと身体を兄に向け、兄の金髪に触れた。ふわふわで柔らかく、指通りもいい。
「……兄上に子供がいたら、どんな子だったかなと考えてたんだ」
「へえ、面白いこと考えるね。そんなの考えたことないや」
「でも兄上も、生前に父上から『結婚しろ』って言われたことくらいあるだろう?」
「んー……私の記憶だとないかなぁ。言われてたのかもしれないけど、聞き流してた」
確かに、兄だったら興味のない話は言われても覚えていない可能性が高い。
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