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第458話
「ええと……兄上、申し訳ない。ちょっと自信なくなってきたから、先に俺が確かめてきていいだろうか……?」
「そうなの? なら私も一緒に確かめるよ。お前に万が一のことがあったら嫌だもの」
「いや、そんな大袈裟なことではないが……」
「いいの。……さ、どっちに行けばいい? 案内して」
「う、うん……」
兄と二人でよからぬ場面を目撃してしまう展開が、ちらりと頭をよぎった。
――いや、さすがにそれはないよな……うん……。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせつつ、アクセルはもう一度気配を辿った。
死者の国 の出口にだんだん近づいているのか、灰色の樹々にうっすらと色味がついてきた。地面にも少しずつ草が生え始め、植物がだんだん生き生きしてくる。
なるほど、これはわかりやすい変化だ……と思っていると、
「ねえホズ、次はどんなことしようか」
「兄上……いくら自由になったからって、いきなり自由に振る舞いすぎではないか?」
「いいじゃないか。ここなら誰にも文句言われないもの。お前の目も回復したし、本当に嬉しいんだ」
「それは、そうだが……んっ」
ちゅ、と濃厚なリップ音が聞こえてきて、反射的にドキッとした。
――え……今の、空耳じゃないよな……?
本当にバルドルとホズなのか? というか、あの二人がこんなところであからさまにイチャイチャしているのか? 早く見つけなきゃ……と思ってたけれど、これは非常に声をかけづらいのだが……。
「あー……ええと、やっぱり今はお取込み中のようだな。少し待ってから声をかけた方がよさそうだ」
何も聞かなかったことにしてその場から遠ざかろうとしたが、兄はガシッと腕を掴んで止めてきた。
「そんなことしてたら日が暮れちゃうよ。ちょっと無粋だけど、声をかけてこよう」
「えっ!? でもさすがにそれは……!」
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