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第920話*

「だからお前には感謝してるんだ。本当に、心から、いてくれてよかったと思ってる。多少手がかかることもあったけど、それもまた励みになった。……ていうか、何度もそう言ってるじゃない? お前がいなかったら私は今ここにいないって」 「それはそうなんだが……」  もちろん、兄から何度となくそう言われたのは忘れていない。一人ぼっちで孤独だった兄にとって、弟は唯一気を許せる家族だった。弟ができたからこそ、兄は普通のお兄ちゃんらしく振る舞えるようになった。  そういう意味では、アクセルは兄の隣にいるだけで一〇〇点満点なんだろうが……。 「とはいえ、やっぱりふとした拍子に申し訳ないと思うこともあるんだ……。俺は兄上に迷惑かけるだけで、これといったことは何もしてあげられていないんじゃないかと……」 「そうかな。私はいてくれるだけで嬉しいけど、それだけじゃお前は満足できないのか」 「いてくれるだけじゃ、ペットや人形と変わらないじゃないか。俺はもういい年齢の大人だ。兄上のために何かしたくなることもあるんだよ」 「ふーん……?」  すると兄は口角を上げて首をかしげた。何かを企んでいるような顔だった。ちょっと嫌な予感がする……。 「……じゃあお前、私に快感を与えてくれるかい?」 「えっ……?」  次の瞬間、食事用のテーブルに押し倒された。仰向けに転がされ、起きようとした途端真上からのしかかられて、身動きがとれなくなる。 「こ、ここでやるのか? というか、今そういう流れだった!?」 「いいじゃないか。最近ご無沙汰だったしさ」 「ご無沙汰ってほどでは……」 「まあまあ。せっかくだから楽しもうよ。断る理由もないでしょ」 「それは……でも、あっ……!」  いきなり服の中に手を突っ込まれ、敏感な乳首を爪で弾かれる。びくんと肩が大きく跳ね、瞬く間にそこから快感が広がっていった。  兄に開発されまくった身体はすぐさま反応を示し、胸の突起はピンと尖って下半身も大きく膨らみ始めた。

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