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第968話

 早く閉じなきゃ……と思ってもなかなか力が入らず、しどけない格好のまま壁にもたれ掛かっていると、 「……あ……んッ!」  兄が例の道具を再び下肢に詰め込んできた。体液に濡れたボールを次々入れてきて、せっかく解放された腹部がまた苦しくなってくる。 「あ、兄上、やめ……もうやめてくれ……!」 「だーめ。せっかく道具があるんだからめいっぱい使わなきゃ。お前、家にいる時はしばらくこれで過ごしなさい」 「!? 嘘だろ……!? このまま生活してろっていうのか……!?」 「そうだよ。これを入れっぱなしにしたまま、常に下半身に力を込めて生活するの。そうすると自然と体幹強化になるんだよ」 「そんな……そんなの、あまりに……」  確かに効果はあるかもしれないが、こんな恥ずかしい鍛錬が続けられるわけがない。こんな状態じゃ外にも行けないし、万が一家に誰かが来てしまっても困る。 「大丈夫だって。だんだん慣れてくるだろうし、外に行く時は抜いて行けばOK。突然の来客は私が対応すれば問題ないよね」 「問題ありまくりだろ……っ! 兄上がいない時だってあるじゃないか……!」 「ああ、そこは居留守を使っちゃって大丈夫だよ。大事な用ならまた向こうから訪ねてくるだろうし」 「そういう問題では……!」 「まあまあ。体幹強くなるのは本当だし、デメリットばかりじゃないって。どうしても合わなかったらやめればいいだけのことさ」 「うっ……く」  結局、持ち手だけ残して全てのボールを埋め込まれてしまった。  下腹部の重みに耐えていると、兄がお湯を汲んでこちらの身体を綺麗に洗ってくれた。洗った身体を丁寧に拭き、ご丁寧に服まで着させてくれる。  本当にこの兄は、親切なのか意地悪なのかわからない。  ――いや、しかし……。  パッと見は何事もなかったように服を着ているけれど、やはり下肢の違和感は拭えない。持ち手だけは尻の外に出ているので、下着を穿いてズボンを穿くと持ち手の跡が浮き出てしまいそうだ。

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