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第1424話

「いや、大丈夫。そこは自分で捜すから。何となくの特徴だけでも教えてくれれば」 「えーと、確かおしゃれな髭を生やしていた覚えがあるな。でもそんな人いっぱいいるから、これだけで絞り込むのは結構大変だと思うよ」 「そ、そうだな……。まあでも、何とか捜してみるよ。ありがとう」  そう言ってアクセルは、チェイニーと別れて訓練場を後にした。  背後でチェイニーが、 「オレは情報源でしかないんだなぁ……」  とボヤいていたが、アクセルには聞こえなかった。  ――しかし、おしゃれな髭を生やした戦士と言われても……。  目の前を通り過ぎる戦士をざっと眺める。  ヴァルハラは完全男性社会だけあって、髭をたくわえている人もそれなりの数いるのだ。中にはファッションのように髭を整えている人もいる。  何かもっとこう……わかりやすい特徴はないものだろうか。どんな武器を持っているかとか、背格好はどのくらいだとか、普段のファッションはどんなもんだとか……。 「……あ」  ふとあることをひらめき、アクセルは世界樹(ユグドラシル)の前に行ってみた。  ここには全戦士の一ヶ月の予定表が貼り出されている。死合いのスケジュールからトーナメントの順番、狩りの引率、郵便配達係など、様々な仕事がランダムに割り振られているのだ。  もちろんランキング表も貼り出されていて、一ヶ月ごとに一喜一憂するのがお決まりとなっている。  ――よし、まずはショーンが何位なのかを捜してみよう。  ランキング表を下から目で追い、目的の名前を見つけようとする。  だがなかなか「ショーン」の文字が見当たらなくて、アクセルは「はて?」と首をかしげた。  四桁台、三桁台のランクも全部チェックしたのに、何でショーンの名前が出て来ないのだろう。どこかで見落としてしまったのだろうか。  ――もしや、もっと上だったりする……?

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