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第1571話*
「あのドリンクはね、本当にただのご褒美のつもりだったんだ。お前、いつも頑張ってるから何かお土産買っていってあげようと思って。それで普段は売ってない栄養ドリンク見つけたから『これならいいか』ってさ……。まさかこんな副作用があるなんて思わなかったんだ。知ってたら買ってこなかった」
……いや、兄なら買っていた気がする。
ただ、ご褒美の栄養ドリンクとして与えたりはしなかっただろう。ちゃんとタイミングを見計らって、非番の日に渡してくれたと思う。
「……ごめんね、お前の予定を潰してしまって。どうせ明日には治るだろうと思って、一日くらいって軽く考えていたのもいけなかった。反省してるよ」
「兄上……」
ぐすん、と鼻をすすり上げたら、兄は少し首をかしげてこう尋ねてきた。
「ねえ……お前、私のこと好き?」
「好き……」
「本当? さっき大嫌いって言われたから、ちょっとまだ疑ってる」
「ごめ……あれは、嘘……。ホントは大好き、です……」
「もっと言って」
「好き……兄上、好き……大好き……」
「…………」
「信じて……本当に、好き……だから……」
自ら兄にしがみつき、泣きながら訴える。
感情に任せて余計なことを口走るとロクなことにならない。思春期特有の反抗的感情だったのかもしれないが、だとしても言われた方はいい気分にはならないだろう。
ましてや兄は、育った環境が特殊だったので元々愛情に飢えている。
そんな状況で可愛がってきた弟にまで「大嫌い」なんて言われたら、立ち直れなくなってしまいそうだ。本当に、余計なこと言わなければよかった……。
「アクセル」
「んっ……!? う……ふあ……」
半開きの唇を塞がれ、濃厚なキスをお見舞いされた。強烈な甘さの中に、涙のようなしょっぱさも感じた。
侵入してくる舌に応えるべく、アクセルも不器用ながら舌を絡め返す。少しでも自分の気持ちを伝えたくて、キスしながらぎゅう……と兄に抱きついた。
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