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第1570話
「私はお前のこと大好きだから、時々こうやってお前に触れたくなる。でもお前が本気で嫌だと思ってるなら、もう二度と悪戯しないように距離をとるよ。同じ家に住んでたらどうしてもやりたくなっちゃうから、物理的に離れようかなって。お前はこの家に住み続けていいけど、私は出て行こうかと思ってるよ」
「……!?」
「ねえ、どうする? お兄ちゃん、出て行った方がいい?」
口元から手を外してくれて、ようやく言葉を出せるようになる。
勢いのまま心にもない言葉をぶつけてしまったことを反省し、アクセルは目を伏せて呟くように言った。
「……ごめんなさい、本気じゃないです。本当に兄上のこと嫌いだなんて思ってないです」
「…………」
「なんか……その、兄上に押し倒された途端、無性に腹が立ってしまって……。こっちはいきなり若返っちゃって大変なのに、兄上はあまり悪びれた様子もなかったから……。それでムカついて、つい暴言を……」
「……そうか」
「でも、本当に出て行って欲しいわけじゃないんだ……。今更兄上と離れて住むなんて、俺には考えられない……。たまに無性に腹立つこともあるけど、それでも距離を取られるのは嫌だ……。言い過ぎたのは謝るから……だから、ずっと一緒にいてください……出て行かないでください……」
半分泣きながら訴える。
努力してヴァルハラに来て、せっかくまた二人で暮らせるようになったのに、何が悲しくて距離を取らなければならないのか。
そりゃあ違う人間同士だから生活していれば喧嘩することもあるけど、だからといって離れて生活したいとは思わない。離れるくらいなら、そうなる前に頭を下げて仲直りしたい。
「わかったよ。私の方こそ、変なドリンク飲ませちゃってすまなかったね」
兄が優しくこちらの頭を撫でてくる。
そしてやや苦い顔をしながら淡々と言った。
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