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第1577話
「おやすみ、アクセル。万が一明日になっても戻ってなかったら、治す方法を調べようね」
「……恐ろしいフラグを立てないでくれ。これ以上引きこもりの生活は御免だよ」
そう言って、アクセルは自分のベッドに潜り込んだ。
――ホントに頼むよ……明日には元に戻っていてくれ……。
不安のせいですぐには寝付けなかったが、ずっと目を瞑っていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
夢も見なかったが、朝まで熟睡できたので兄に消耗させられた体力を回復することはできた。
***
翌朝、アクセルはいつもより少し早く目を覚ました。隣の兄はまだ熟睡していて、起きる気配はなかった。
――そ、そうだ……身体の方は……?
我に返ったように、自分の腕の長さを確認してみる。
昨日寝る時は長かったので折り曲げていた袖が、今は少し短くなっているように感じた。
――戻ってる……?
急いでベッドから下り、洗面所の鏡で確認する。
目線の高さは見慣れた位置になっており、大人らしい青年の顔が写っている。念のため裾をめくり上げて腹筋を確認したら、割れた筋肉がしっかりついていた。
「よ、よかった……」
安心し、思わずへなへなと脱力してしまう。
万が一、朝起きても戻ってなかったら本当にどうしようかと思っていたのだ。下手したらずっとこのまま、十六歳の少年として過ごさなければいけないのかと気が気ではなかったし……。
――下手したら、ランクも最初からやり直しになるところだったからな……。元通りになってよかった……本当に。
これで今日からいつも通りの生活ができる。
「……よし」
顔を洗って服を着替え、アクセルは庭に出て軽く深呼吸した。そして簡単に準備運動をして、いつものようにランニングをした。
「ぴー♪」
ピピも起きて来て、ぴょんぴょん並走してくる。心なし足取りが軽く、はしゃいでいるのが窺えた。
「おはよう、ピピ。寝て起きたら元に戻ってたよ。本当によかった」
「ぴー」
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