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第1590話

「強化する必要ないくらい切れ味があったってこと?」 「いや、ちょっと保留にしてもらっただけだ。実は、他のオプションをつけるかどうかで悩んでしまって」 「他のオプション?」 「狂戦士モード限定で、武器を振るうと炎が出たり雷が発生したりする強化があるんだと」  アクセルは、エルフから聞いた話を簡単に説明した。  風の刃もエルフがつけてくれたオプションだという話をしたら、兄は「ああ」と納得したように頷いた。 「そう言えばそうだったね。普段は特に意識しないから、強化だってことを忘れてたよ」 「知ってたのか、さすがだな。というか、戦士(エインヘリヤル)でそういうオプションつけてる人あまり見かけないけど、みんな知らないのか?」 「知ってはいるけど、やりたくないんじゃない? 炎とか雷とか、そこまでやっちゃったら魔法使いみたいだし」 「? 魔法使いはいけないことなのか?」 「いけなくはないけど、『戦士(エインヘリヤル)たるもの、きちんと肉弾戦を行うべき』みたいな、そういう風潮ない? 『飛び道具は敗北者の武器』とか言ってる人もいるし」 「あー……それは、まあ……」  そこまで言うつもりはないが、死合いにおいて「弓や鉄砲などの飛び道具はちょっと」みたいな暗黙の雰囲気があるのは事実だ。ラグナロク前のルールでは、飛び道具が禁止されていたこともあるくらいだし。  兄は顎に手を当てて言った。 「それを考えると、魔法みたいな強化をしたがる戦士(エインヘリヤル)って少ないのかもしれないなって。最初に全員に与えられる風の刃はセーフだとしても、武器を振るって炎や雷を出しちゃったらそれはそれで戦士らしくないというか。魔法みたいな武器で戦うより、お互い直接斬り合うような死合いをしたいってことなんだろうね、きっと」 「はあ、なるほど……」 「でも、お前が強化をしたいんだったら全然していいと思うよ? 別に反則じゃないし、勝率を上げるための対策はしておくべきだと思うな」 「ああ……そうだな……」

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