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第1589話
「足りない材料は自分で採掘してくるんだよ。市場でも一部の材料は売ってるけど、割高だし質もイマイチだからやめといた方がいいね」
「そ、そうですか……」
曖昧に返事をしつつ、アクセルはどうしたものかと迷っていた。
せっかく武器を強化してもらうのなら、切れ味以外の強化もしてもらいたい。チェイニーと戦うことを考えると、なるべく相手の意表をついたオプションをつけたいなと思っている。材料が必要なら、それを採掘してくるのもやぶさかではない。
――でも以前、兄上と玉鋼を採掘に行った時は、よくわからないガーディアンに襲われかけたんだよな……。
そこだけが唯一の懸念点だった。
武器強化に使える鉱石を手に入れるためには、地下深くに潜らないといけない。
でもそこにはガーディアンが徘徊していて、侵入者を見つけ次第問答無用で襲い掛かってくるのだ。
光が差す地上までは追いかけてこないが、視界は悪いし殺気は剥き出しだし、かなり恐怖を覚えたものだ。地下で殺されたら遺体が回収しづらいということも、より一層怖さに拍車をかけた。
もっとも、それを乗り越えなければ強力な武器は手に入らないのだが……。
「……すみません、強化依頼は一度取り下げていいですか? 兄と相談してきます」
「あ、そう。まあ好きにすればいいさ。次もオレがいるとは限らないけどな」
「そういうオプション付きの武器強化は、誰でもできるわけではないんですか?」
「ああ。武器にオプションをつけられるエルフはごく一部だ。ここのシフトには、オレの他にあと二人しかいないな」
「そうなんですか……貴重な人材なんですね」
「じゃ、オレは仕事に戻るぜ。依頼が溜まっているもんでね」
再びトンカチを片手に、カンカンとやり始めるエルフ。
とりあえずアクセルは小太刀と玉鋼を回収して、家まで戻った。
「おや、おかえり。……って、なんだ。武器強化してもらわなかったの?」
兄が巾着袋を見て言う。
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