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第1588話
「はあ、すみません……」
……なんだか結構癖の強そうなエルフだ。ちゃんと仕事をしてもらえるんだろうか。
「で、用件は何?」
「あ、ええと……武器を強化してもらいたくて」
「強化ね。材料はあんの?」
「一応、玉鋼を持ってきました」
そう言って、机の上に玉鋼の入った巾着袋をドサッと置く。
それと強化してもらいたい小太刀を一緒に置いたら、エルフは「ふーん」と曖昧な返事をした。
「玉鋼だけだと切れ味の強化しかできないけど、それでいいの?」
「? 切れ味以外の強化があるんですか?」
「あるに決まってるだろ。材料次第だけど、振るったら炎が出るとか雷で痺れさせるとか……いろいろできるよ」
「……え。それはもう魔法の域なのでは……」
「強化ってのはそういうもんだ。あんたらには狂戦士モードがあるだろ? その時に武器を振るうと風の刃が出るじゃないか。あれも一種の武器強化だよ」
「えっ、そうなんですか? 別に俺、そんな強化をお願いした覚えはないんですけど……」
「そりゃ最初からついてるオプションだからな。あんたらがヴァルハラに来た時、生前に使ってたのと同じような得意武器を渡されただろ? あれはあらかじめオレたちが生前の武器を預かって、眷属 用に強化してるんだ。ま、ヴァルハラに来たお祝いみたいなもんだな」
「ええ? そうだったんですか?」
「当たり前だろ。あんたらはオーディン様の眷属 だ。人間とは似て非なる生き物なんだよ。人間時代と同じ武器を使えるはずがない」
衝撃の事実に目から鱗が落ちた。
狂戦士 になると、武器を振るうだけでも風が刃となって相手を切り裂くことができる。
今まではそれも狂戦士限定の特殊能力だと思っていたが、まさかの武器強化だったとは。いろんな意味で驚きだ。
「んで? 切れ味アップだけでいいわけね? 他のオプションはナシ?」
「ええと……つけてみたいのはやまやまなんですけど、材料がなくて……」
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