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第1592話
「私がお前の代わりに素材を集めてくるよ。そうすればお前は鍛錬に専念できるし。それなら問題ないよね」
「え……っと、それはありがたいんだが、つまり兄上一人で地下に潜るってことか?」
「そうだね。まあ少しくらい大丈夫でしょ。必要な素材だけ確保してササッと帰ってくれば問題ないん……」
「問題あるよ!」
アクセルは遮るように言った。その勢いに、兄も少し驚いたようだった。
「兄上一人で行くなんて絶対ダメだ。もしガーディアンに襲われて、帰ってこられなくなったらどうするんだよ」
「いや、私はそんなヘマしないけど……。多少時間かかっても帰ってくることはできるよ」
「それでもダメだ。例えば兄上が『夕方までには帰ってくる』って言って出掛けたとして、それでもし夜になっても帰って来なかったら、俺は絶対心配になって捜しに行ってしまう。で、自分が変な罠にかかって帰って来られなくなるんだ。それじゃ本末転倒だろ」
「ああ、そっちの心配か……。確かにお前なら、そういうドジもやりかねないね」
兄が少し苦笑して言う。
自分で言っててちょっと恥ずかしかったが、やらかしが多いのは事実だからやむを得ない。
「兄上が俺のためにいろいろやってくれるのは、本当に嬉しいよ。でもそれで兄上が危険な目に遭ったり、俺も一緒に帰ってこられなくなるのはちょっと違うんじゃないか? 死合いのために武器強化するのは大事だけど、そんなリスクを冒すくらいなら素直に敗北した方がいいと思う」
「アクセル……」
「とりあえず、強化に必要な素材は何かもう一度エルフに聞いてくるよ。それで全部集められそうなら強化するし、無理そうなら強化しない。それでいいだろ? 兄上が身を削る必要はないよ」
一生懸命そう訴えたら、兄もようやく折れてくれた。
「そうかい? そこまで言うなら好きにすればいいよ。でも私は、お前が優勝してくれることを願ってるからね」
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